iPadを彫る!

今回はダーツさんからのご依頼で、iPad犬人先生ikinaイラストを彫ります。

まず最初に、ikina iPadの仕上がりイメージを確認するために、PhotoshopでiPadとIkinaイラストを仮合成します。



彫った部分は地に対して白くなるため、イラストレイヤーをグレースケールに変換したのち、階調反転させて、合成方法をスクリーンに設定します。

今回のイラストではりんごマークと指先、口元のレイアウトがポイントです。角度と拡大率が決まったら、イラストレイヤーの合成方法と階調を元に戻し、印刷解像度を実寸に合わせて転写用の下絵を作ります。



印刷してリングマーク部分をカッターで切り抜き、iPadのリンゴマークと位置合わせをします。



iPadの位置が決まったらカーボン紙をはさみ、たるみのないようにテープで天地をしっかり留めます。



主線とある程度ガイドが必要そうな線をなぞってiPadに下絵を転写します。転写漏れを防ぐため、線をなぞる際は色ボールペンを使っています。



いよいよ彫り作業です。ちなみに今回使ったのはPROXONの先端1mmのダイヤモンドビット。アルミは柔らかく、新品ビットだと削りすぎてしまうので、使い込んでやや丸くなった方を使います。



カーボンをこすって消さないように、周囲から一気に主線を彫っていきます。この時点では引っかく程度にとどめ、あまり深く彫らないでおきます。あまり最初から線を決めてしまうと、あとからバランスがとりにくくなってしまうため、あくまでも主線を刻む程度でとどめます。



ここで疲れが来たので、モチベーション維持のため目を先に彫りました。w
しかし、人形も痛絵も目が命。一気に完成させずに、後から手を入れられる余地を残しておきます。あくまでもこれは途中経過。



後はひたすらベタからハーフトーンを角度をかえて削っていきます。へっぽこなので、簡単なところから作業していきます、今回は口から。



次は絵の中で最も黒いネクタイ。ここを先に決めて、全体の黒バランスの基準にします。



ネクタイほぼ彫り終わるとこんな感じになります。素材の表面加工(鏡面 or マット)によりますが、今回は「黒」っぽくしたい部分を彫り、「白」にしたい面は彫らないでおくことにします。



AMDロゴを彫ります。金属感が出るように角度をかえて削っていますが、写真にうまく写らないのが悲しい……。元絵のグラデーションを参考に、黒を絵に対して垂直、ハーフトーングレーを45度、ハイライトを水平に彫り、継ぎ目の部分をそれぞれの角度の中間っぽく彫っています。



生え際は髪で最も暗い部分の一つなので、ここもしっかり角度をつけて削ります。



首後ろ髪も同様です。基本は暗いところから順につぶしていきますが、時々飽きたら広いところに浮気したりしながら彫ります。楽しくないと線が雑になるので、自分の集中力維持が一番のポイントです。



いよいよ髪のキューティクルテカテカを彫っていきます。一番しんどいところです。



時々手を休め、俯瞰してバランスを見……それは建前で、進捗具合を眺めてニヨニヨし、やる気を充電します。



今回は目のハイライト部分に鏡面加工をして、ひときわキラッ☆ ……を狙いましたが、写真に撮ると角度によって真っ黒に見えてしまうことがわかりました。もうやりません……。



あれこれ削って調整した結果、完成です。強いスポット光が当たらない、柔らかい光では鉛筆スケッチのようなタッチに見えますね。



今度は暗くし、スポット光を当てると、一転してエロい雰囲気が出ます。



角度を付けるとさらにまた違った表情を見せます。光に照らしていろんな角度から眺めるだけでさまざまな絵柄を楽しめます。



というわけで、iPad1枚彫るのに1週間。
満足な仕上がりです。

※2025/4/3更新:くだんの無条件AI学習騒動を嫌気してX(Twitter)アカウントを引き払ったため、Twitpicから画像データを回収して公開し直しました。

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